美しい銀髪に琥珀色の瞳、長身の少し無愛想な美少年。
こちらも長身、黒目がちの狐目と明るい茶髪、好戦的な笑みを八重歯の覗く唇に浮かべる美少年。
水色の長い髪、大きな瞳に長い睫毛、目を見張るような小柄な美少女。
3人の視線は恐ろしい程の熱を含み、一人の少女の注がれていた。
『Love Hunting!!!』
「とりあえず・・・・テメーは帰れ」
「そうかも・・・・他校生が来るんじゃねーよ・・・・かも・・・」
「あんだよテメーら・・・・オレともみじの恋路を邪魔する気か?」
「テメーと清熊の間にいつ恋が芽生えたんだよ」
「勘違いも甚だしいかも・・・」
お互い睨み合う2人の男と1人の女。
まったく共通点がなさそうで、本当はある。
それは十二支高校マネージャー、清熊もみじに向かう『恋』と呼ぶにはいささか濃すぎる感情を持っている事だった。
しかし3人の内、誰1人としてそれが報われている者は居なかった。
ただの野球部員、しかし結構頼れるとここまで認識されているのが、犬飼冥。
幼馴染、同じマネージャー仲間とこの中ではおそらく一番大切にされているであろう猫湖檜。
残った御柳芭唐に至っては、現れる度に「誰だっけ。ああ、あのチンピラ高校の四番か」とスピリチュアルアタックを喰らってしまうほどの面識の薄さ。
そしてそんな3人にとって最大の敵は十二支高校四番いろんな意味で最強を誇る牛尾御門だった。
「あ、あの・・・・キャプテン・・・・タオルです・・・」
「ありがとう清熊くん、今日も清く正しく美しいね」
「い、いえ・・・そんな・・・」
顔を赤くするもみじと爽やかに微笑む牛尾のこんなやり取りを目の当たりにし、
犬飼は手にしていたドリンクの容器を破壊し、檜はなにやら呪文のようなものを唱え呪いの言葉を口にする。
その話しを聞いた時(どこから)御柳は隣りにいた先輩の朱牡丹の頭を力の限り掴んで八つ当たり。
まあとにかく3人は純粋にこの恋を成就させたいと当面のライバルである2人と戦いを繰り広げているのだった。
そして今日も我先にと3人はもみじに話しかけて行く。
「「「もみじ!!!」」」
檜はともかく、180cm台の男2人に走って迫ってこられもみじは一歩引いて3人の姿を認めた。
「ああ、何だよお前ら。」
「き、清熊!!オレはお前が・・・・・・ガフッ!!」
1人が抜け駆けをしようとすれば、残った2人は釘バットで裏切り者をしばく。
こんなやり取りを目の前で見せられても、もみじはまったくと言っていいほど3人の気持ちのは気付いていないのだ。
「はぁ・・・お前らなんかよく喧嘩してんなぁ。でも喧嘩するほど仲がいいてやつか?」
のん気に笑うもみじを前に3人の心の声が重なる。
『どう見たら仲良く見えるんだ!!!!!』
「おい!」
一歩前に詰め寄り近づきすぎの至近距離でもみじの肩を掴むのは御柳。
「な、なんだよ?」
「もみじ・・・・・愛し・・・ごはっ!」
今にも唇を奪わんばかりの勢いを止めたのはやっぱり犬飼と檜。
「痛ってぇなテメーら邪魔すんじゃねーよ!!!!」
「とりあえず邪魔なのはテメーの存在だな」
「消えて欲しいかも・・・」
「あっ!!!!!」
突然声を上げたもみじに今まで睨みあっていた3人が振り返る。
「どうしたの・・・・かも・・・」
どさくさに紛れてもみじの腕に絡みつく檜を恐ろしい形相で睨みつける大男2人。
「お前らもしかして・・・・・・三角関係か・・・・!?!?!?!?」
三人の心が音を立てて崩れ去った。
「そっかそっか!!いや〜何か変だと思ってたんだよ!
なんかよくお前ら喧嘩してたし犬飼と御柳檜を囲んでよくいがみ合ってただろ!?
んでなんかオレんとこよく来てなんかぎゃーぎゃー言ってたじゃんか。
オレが檜と仲いいから妬いてたんだろ!?オレに。そっか・・・・辛いな・・・・3人とも・・・」
1人で勝手に話しを完結させているもみじに慌てて弁解を試みる3人。
「違うかも!!!私にだって選ぶ権利はあるかも!!!」
もみじの腰に手を回し本気で叫び訴える檜。
「んだとこのチビ!!どさくさに紛れてべたべた触ってんじゃねーよ!!!」
と言った御柳の手ももみじの腰に伸びている。
「「「誤解すんな!!」」」
「・・・・・・誤魔化さなくてもいいんだぜ?しょうがないんだよ。
たとえライバルがいたって好きになる時はなっちまうんだ・・・・・檜も辛いかもしんねーけど、ちゃんとどっちか選んでやれよ??」
本気で心配そうに俯くもみじの表情は3人にとっては鼻血を吹くほど色っぽいものだったが状況が状況だけにうっかり悦に入る暇もなかった。
「だーーーー!!!もう誰がこんな外見と中身がミスマッチ過ぎる腹黒チビなんか好きになるか!!!!」
「こっちだってガングロサーファーと犯罪者面なんて御免かも・・・!!!」
「とりあえずありえねぇ展開だ!!!」
やっぱりはっきり言うしかないんだ!!!
3人の心の声が重なった。
「「「オレ(私)はもみじの事が好きだ!!!!」」」
「清熊くん、ちょっといいかい?」
悲しすぎる程美しく三人の声と重なった牛尾の美声。
もちろんもみじの耳に届いたのは牛尾の声だけだった。
「あ・・・ハイ今行きます・・・」
少し顔を赤らめて牛尾に着いて行くもみじが3人を振り返る。
最後の光に縋った3人を待ち受けていた言葉。
「オレ、協力するからな!!!お前らの味方だから!!」
3人は三日間飯も喉を通らなかったそうな。
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・超素敵ミスフル小説サイト『あなきゅう』様のキリ番を何とゲットという、
今年最高の運を使い果たしこんなに萌な小説を戴いてしまいました!!v(鼻血)
リクエストをするにあたり、もみじちゃん萌で、総受派の私は春町姫様の書かれる小説の
芭熊も猫熊猫も、犬熊も牛熊も馬熊もみんな大好きで、どれをリクエストするか一つに
絞りきれず、どれも読んでみたい!!_(><)_という我が儘から『芭&犬&猫→熊→牛
のもみじたん総受をお願いします』と、とんでもないリクエストをするという暴挙に;
しかし、そんな我が儘でややこしいリクにもかかわらず、心良く引き受けて下さりましたv超天然なもみじちゃんと酬われないちょっとおばかなもみじラブvトリオがもうめちゃめちゃ
可愛くてたまりません!!牛尾キャプが実は3人の気持ち知っててやってたら最強だな(笑)
春町様のシリアスやほのぼの系も大好きですが、ギャグも本当に面白くて尊敬しますv
ややこしいお題で悩ませてしまい申し訳ありませんでした;素敵な小説本当に有難うございました!m(__)m<戻る>