『notice your mind』







可愛くてしかたがないから



素直じゃないトコロだって含めて好きになった訳だしもちろん可愛いなぁ好きだなぁって思うけど



でもやっぱりたまには甘えられたいし



「この服可愛い」なんて言われれば全財産叩いたって買ってやりたい



向こうからキスなんて強請られたら昇天しかねない









それなのに。



奢ると言っても「自分で払うからいい」と突っぱねられ、オレが自分の意見を押し通せばいつの間にかポケットに押し込まれている夏目漱石が数枚。



手を繋げば全力で振り解かれ、抱き締めれば脇腹に漢蹴り。
我慢の限界で半ば無理矢理した初めてのキスは噛み付かれて終了した。



恋人的接触は皆無に近かった。



明確な愛の言葉をもみじの口から聞いたのだって付き合い始めたその日一度きり。









そりゃー欲求不満を並べればキリはないけどそれでもオレはもみじが好きだから。
でもある時ほんのポロっと一言それを口にしてしまった。











「前に付き合ってた女は皆もっと色々させてくれたし、してくれたのに」




右頬に受けた痛みよりもその言葉と表情に込み上げてくる後悔




見たこともないくらい傷ついた顔をして









「お前なんて大嫌いだ」









そう残してもみじは走り去っていった。





後悔先立たず


よく言ったものだ







あれだけ好きだと言って大切にしていた彼女を傷つけてしまった。

あの言葉にもみじはどれだけ傷ついただろう。

アイツの性格を全否定してしまったようなあの言葉に。




情けない事に走り去った後姿に硬直したように足が動かなかった。











そういう意味で言ったんじゃなかった



ただいつもまだ好きなのは自分だけなんじゃないかって不安になって













「・・・・・・っくそ・・・・・・・」





抱え込んだ頭をかきむしった。











初めて会ったのは練習試合でだったっけ?


最初に好きになったのは目だった気がする。


どうしようもなく意地っ張りなところだって


必要以上に恥ずかしがりなところだって










何コレ?走馬灯みてぇ。












とぼとぼと家に帰り倒れこんだベットで思いっきり顔を埋めた抱き枕。


泊まったのは一昨日だっけ
いっつもあっち向いて寝ちまうし触らせてもくれないけど
ぼけーっと寝顔眺めてるのがすごく好きだった









突然鳴り出した携帯の着メロに、一瞬反応して顔を上げるけど
ああ、この音楽はもみじのじゃなかったとまた項垂れた。


のろのろと通話ボタンを押す。




『ミヤー!連絡網気だよー』


「ハイハイどうも」


『感じ悪い気ーーーー!!明日は朝練なしだからな』


「先輩」


『なんだよ』


「オレ別れるかもしんねーっす」



他人に弱音をもらすなんてダサいから絶対に嫌だったけど自然と零れてしまった言葉だった。





『ハァ!?何言ってる気!?!?』






聞かれてもいないのにぼろぼろと昼間あった事を録先輩に漏らした。
慰めが欲しかったんじゃなくて叱って欲しかったんだと思う。







『・・・・・解ってると思うけど・・・・好きって言葉に出すだけが愛じゃない気だぞ』




『もみじちゃんはさ』


アイツは


『もみじちゃんなりの方法でミヤの事好きだっていってたんじゃない気??』








---無理すんなよ?---





---バーカ、嫌いだったら一緒に居るわけねーだろ---








なんで今更こんな事に気が付いてるんだ














『ミヤ早く会いに行きなよ』











オレバカみてぇ



1人で勝手にイジけてガキじゃねーんだから













こんなに全速力で走ったのは、試合でもなかったかもしれない。













家のチャイムを祈るような気持ちで押して出てきたのはもみじだった。



オレの顔を見た途端もみじの顔が苦痛で歪む。



こんな顔をさせたのは自分なのに自分勝手に胸が痛みだした。







「話しさせてくんねー?」



もみじは無言で頷いた。










場所を近くの公園に移しても二人の間には沈黙が続く。




風の音がやけに大きく聞こえてこれからオレが言おうとしている言葉はちゃんともみじの耳に届くだろうかと不安になった。







俯いたままのもみじの頬にそっと触れる。


一瞬ビクリと震えたのが解ったがもみじは振り払おうとはしなかった。












「ごめん」














一番軽いけど一番重い謝罪の言葉








お願いだから届いてますように













「なんていったらいいのかわかんねーんだけど・・・・・・勝手に不安になって
んでお前に当たっちまって・・・・・・。オレだけが好きなのかなぁって恐くて。
でもちゃんともみじもオレの事好きだって想ってるんだって今ごろんなって気付いて・・・・・
意味わかんねーかもしんねーんだけどオレ・・・・すげーお前の事好きだから・・・・・・本当だから」








「傷つけてごめん」







そうしたいと思うままに目の前にいるもみじを抱き締めた。















しばらくなすがままになっていたもみじがオレのシャツを掴んで言ったのは、思いもよらない言葉













「ちゃんと好きだから」









声が震えていて
しかも小さな声だったけど
ちゃんと聴こえた















「ありがと」









そう言ったらもみじは涙を目に浮かべたまま肩を震わせて笑い出した。














どちらからともなくした初めてのキスは十秒後幼稚園児に指を指され叫ばれた事でも忘れられないものとなった。





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うお〜〜〜!!!春町様の萌芭熊小説ですよ!!(喜)
前回キリリクで戴いたもみじチャン総受けギャグ小説を姫さん御自信が納得いかなかったそうで
(勿論読んで頂いたらわかるように超萌小説なのですが!!)、第2段として戴いちゃいましたv
こう、お互い大好きで、信頼してるんだけど、それ故につい甘えてしまってお互いを瑕つけてしまうような
不器用な二人がたまらなく愛しいです。ああ、説明ド下手ですみません(T口T)
もう、口下手で、甘え下手だけど一所懸命自分なりに頑張って愛情を伝えようとしてるもみじたんが
可愛過ぎで奪い去り隊!!!もみじチャン泣かした芭唐ンは釘バットでケツバットの刑にしたいですが
彼は彼でもみじチャンラブラブなのでゆるしますv
ってメチャメチャ素敵な小説にこんなふざけた感想しか書けない自分にケツバットフルスウィングでやりたいよ(死)

姫さん本当にわがままな私なんかの為にこんな素敵な物有難うございますm(__)m

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